症例紹介

主訴

正中が合っていない

八重歯が気になる

インビザライン矯正をお願いした医院が閉院して困っている。

初診時の所見(2023年11月)

患者様はインビザラインを開始して約100日が経過した時点で、通われていた医院が閉院し、お困りのところ当院を受診されました。

できるだけ非抜歯での治療をご希望でしたが、重度の叢生があり、一般的には抜歯を伴うケースと考えられます。しかし、当院では可能な限り非抜歯での矯正治療を行っており、本症例についてもその方針で進めることとしました。



診断

骨格性1級 メジオフェイシャルタイプ

Angle 1級 重度叢生

治療計画

患者様の前歯部は叢生の程度が強く、歯列が舌側に倒れ込んでおらず、犬歯を収めるスペースが不足していました。しかし、パノラマ写真から歯軸が近心に傾斜していることが確認できたため、臼歯群のアップライトを行い、さらに歯のサイズが平均より大きいことを考慮し、顔貌との調和を図る形態へとIPRを施すことでスペースを確保する方針としました。

治療の手順として、まず通常通りレベリングを行い、歯列のフラット化を進めます。その後、ゴムメタルワイヤーが適用可能な段階でワイヤーを変更し、臼歯部のアップライトを行いながらスペースを獲得し、犬歯のためのスペースを確保します。最終的に、咬合と歯列を整えてフィニッシュへと移行する計画としました。

治療過程

治療後 2024年8月

約8ヶ月の治療により、叢生が大幅に改善され、八重歯も適切な位置へと誘導することができました。非抜歯での治療であったため、スペースの確保が課題となりましたが、計画的なアプローチにより対応することができました。その結果、セファロ分析上では前歯がやや唇側に傾斜しましたが、顔貌写真の評価では審美的な問題は認められませんでした。

また、咬合も左右でしっかりと噛み合い犬歯による顎の誘導も適切に機能しています。患者様からも「自信を持って笑えるようになった」とご満足いただき、治療の成果を実感されていました。

一方で、左側の犬歯については、もう少し舌側へ移動させることで審美性の向上が期待できましたが、患者様のご希望によりこの段階で矯正治療を終了しました。また、犬歯の牽引による歯肉退縮や、叢生による下顎前歯部のブラックトライアングルが認められるため、今後は定期的なメンテナンスを行いながら慎重に経過を観察していきます。

治療期間・費用・リスク

動的治療期間8ヶ月
治療費¥1,100,000

治療後のリコール時におけるリスクマネジメント

  • 矯正装置除去後に後戻りすることがあるので、保定装置を決められた期間確実に装着してください。
  • リコールによる継続定期検診が必要となります。