ゴムメタル矯正とは

ゴムメタルとは

『ゴムメタル』(GUMMETAL)は、しなやかさと強さを兼ね備え、歯の移動に最適な力をかけられるため、矯正治療において理想的な特性を持つ合金です。2001年にトヨタグループのシンクタンクである豊田中央研究所(愛知県)の先進金属研究室が開発した体心立法構造を持つβチタン合金です。

変形させても元に戻ろうとする性質を他の金属よりも強く持つことから、ゴムメタルと名付けられました。

ゴムメタルの特徴

ゴムメタルは下記の様々な特徴がありますが、一言でまとめると、Ni-Tiよりもしなやかでステンレスより曲げやすく、過大な力の抑制、疼痛の軽減、活性化量の最大化ができるワイヤーです。

  1. 高弾性限 材料が元の形に戻れる限界の力で一般金属の10倍以上
  2. 高強度  引っ張り強度が1,000MPaで歯科用金属の中で最も強い
  3. 易成形性 ワイヤーを簡単に曲げれる
  4. 加工硬化 曲げても硬化しないので破折しにくい
  5. 安全性  重金属を含まないバイオマテリアル
  6. ヒステリシスがない 最適な矯正力を常にかけられる
  7. 非線形弾性挙動 変形量が増えると柔らかくなる特性を持つ唯一の金属

従来の方法では硬いステンレスワイヤーを用いるため、過度な力を避けるためにワイヤーのサイズを少しずつ上げていく「ワイヤーシーケンス」という技法を用いますが、ゴムメタルはしなやかなため、早期からフルサイズの角ワイヤーを装着し、歯の三次元的なコントロールが可能です。

ゴムメタルによる歯の一括移動とは?

『歯の一括移動 (“en block” movement)』を一言で表すなら、『ゴムメタルワイヤーを用いて複数の歯を同時にアップライティング(整直)』する技術です。

従来のステンレスワイヤーによる矯正治療では、ステップごとにワイヤーを交換していき、抜歯を行なってできたスペースを活用して歯を個別に動かしていくことが一般的でした。一般的に片側で6-7本のワイヤーが使用され、サイズアップに伴う疼痛や強大な力による歯根吸収があります。

一方、ゴムメタルでは特性により適切な力が持続的に作用するため、歯への負担が少なく、疼痛や歯根吸収のリスクを抑えられます。また、早い方で半年から遅くても2年と従来に比べて治療期間が短く、長期安定をもたらす歯の一括移動をさせることが可能になります。

ゴムメタルによる矯正症例

ゴムメタルによる歯の一括移動は、様々な症例に有効です。ぜひ症例一覧をご覧ください。

体に安全、安心な材料

ゴムメタルは、全ての構成元素がバイオマテリアルとして認められており、細胞毒性がないため、生体適合性が非常に高い素材です。従来のNi-Tやステンレスワイヤーには、Ni (ニッケル) や Cr (クロム) 、Ba (バナジウム) など、金属アレルギーを引き起こす可能性のある成分が含まれていますが、ゴムメタルにはこれらが含まれていません。そのため、安全性が非常に高く、金属アレルギーが懸念される患者様にも安心して使用いただける矯正ワイヤーとして評価されています。

200症例以上のデータからみた抜歯率

当院および長谷川信先生の200症例以上によるデータ(2025年1月)では、第3大臼歯(親知らず)の抜歯率は96%と歯の一括移動(“en block” movement)のためにほぼ抜歯しますが、小臼歯の抜歯率はわずか1%に留まりました。これは、従来の矯正治療と比較して歯を無駄に抜かずに治療を進められることを示しています。

まとめ

ゴムメタルワイヤーを用いた歯の一括移動による矯正によって、なるべく非抜歯で、治療期間を短く、長期安定をもたらす矯正治療が可能になります。

これから矯正治療を検討している方は、ゴムメタル矯正について歯科医師と相談してみてはいかがでしょうか。

終わりに、ゴムメタルによる歯の一括移動(”en block” movement)の開発者である長谷川信先生には一から丁寧にご指導をいただきました。長谷川信先生は残念ながらご病気のため他界されましたが、最後まで技術を伝えようと尽力してくださいました。この素晴らしい技術を活かし、患者様の笑顔につながる矯正治療を提供できるよう努力してまいります。

参考文献

「必ず上達 GUMMETAL矯正歯科治療 (著者)長谷川 信 先生 クインテッセンス出版」

「GUMMETALワイヤーによる歯の一括移動 ーその概念と臨床ー (著者)長谷川 信 先生 東京臨床出版」

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